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『心の病気はどう治す?』Vol.159
著者:佐藤光展
出版社:講談社現代新書
発行年月日:2024年2月1日
すごい先生が集まった本です!本の表紙に
おられる6人の精神科医の先生は、精神科
医療の中でも依存症やうつ病、発達障害
など、様々な分野で超がつくほどの有名な
先生方!
その先生方それぞれから、インタビューや
コラムでのお話が盛り込まれた本書は、
これまでにない、精神科医療に関する宝箱
のような本です。
松本俊彦先生からは、依存症についてのお話。
患者さんの心と向き合わないと依存症の治療は
できない。特に、薬物依存症に関しては、
日本では厳罰化ばかりが進み、治療ではなく
社会生活が更にしずらい状況が続いていること
を指摘されています。薬物の依存に陥る人は、
快楽の追求だと思われがちですが、そうではな
く、生きる苦痛緩和のための薬物使用なので、
「ダメ、ゼッタイ」のキャンペーンにより、
より孤立化を招き、再び生きる苦痛を強いる事
になること。また、一方で、日本の10代から30
代の死因は自殺であり、その若者が、市販薬の
力を借りていることも多いこともあることは、
罰だけで対処することだけでは何も進まないと
いうことだと分かります。
そういう依存症に対して、海外では、ハームリ
ダクションという取り組みがあることを、成瀬
先生は、紹介されています。このプログラムを取
り入れている国は世界90カ国で、有効性は、科学
的に証明されています。成瀬先生は、日本で率先
してこのプログラムを導入して「ようこそ外来」
という名称をつけた、覚醒剤依存症患者の外来治
療を行ってこられました。その効果は、3年間で、
患者さんの断薬率が72%とすごい効果です。日本
では、覚醒剤や大麻、マリファナなど薬物以外も
今後懸念されているものがいくつもあります。
また、ベースにADHDが診断される方には、コン
サータが効果的ですが、診断には慎重にならない
といけないということも警告されていました。
原田先生は発達障害を持ちながらも、お店を経営
する方の事例を通して、その特性により、お店の
経営にも計画性をもてなかったり、物忘れがあっ
たり、難航したことでのうつ状態にもなったこと
を治療薬と医師からの説明や社会で生きるための
方法や工夫などアドバイスを受けることで、いろ
いろな特性を乗り越えれるようになった様です。
診断への慎重さと処方薬についての重要性は、
原田先生、秋山先生の章では、詳細が語られてい
ます。統合失調症などは服薬がないと社会生活は
無理なのではないか?と思いますが、そこを対話
の力で消失させたり、治癒させるという、オープ
ンダイアローグというフィンランドの手法を紹介
されているのは、斎藤環先生や高木先生です。
日本では、ドキュメンタリー映画で知られるよう
になり」10年くらい経つとの事です。オープンダ
イアローグは、本人と、専門職の治療チームに加え、
家族や友人らも加えて話をしていきます。人間同士
の理解が重要なため、この専門職のチームは、同じ
目線でフラットな関係ということが大前提です。
オープンという意味は、専門職同士が間で話をする
ことも全て、本人やご家族の前で話し合いをします。
それについての感想や意見なども後から本人や家族
はできる時間があります。オープンダイアローグは、
再発してもまた対話をすることで、早期回復が叶う
ということはありますが、その背後には、話し合え
る関係性や信頼感、距離感の関連性はあるようです。
オープンダイアローグのガイドラインは、ホームペ
ージにもあり、それに準じて、家庭での対話を見直
すこともできるということも書かれてあります。
そして、認知行動療法については、大野裕先生から
のお話。何をやるにもうつ気分や不安感により、
行動できなくなってしまう時に、とにかくやってみる
という行動に方向を向けていくのが認知行動療法。
特に3大ネガティブ感情である不安、うつ、怒りに
対しての自分の捉え方についての対処方法について
の解説があります。ひきこもりの中でも精神症状を
併存する人は多いことで、ひきこもり状態について
スクリーニングテストやどうすれば社会参加できる
かについての方法、そして、ひきこもり相談の窓口
となる、家族との面接については、家族がどう接す
ればいいのかについて、学習することが出来る家族
プログラムの重要性については加藤先生から解説。
まだまだ、紹介しきれない先生のお話がいっぱい!
この本は、単行本の大きさ。とても、専門書には見
えないのですが、精神科医療のテキストとしても、
何度も読み返しても勉強になる内容になっていると
思います。
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「分かっちゃいるけど止められない!」
お酒やギャンブルに依存しているのでは?と
思った事はありませんか?
また、ご家族の中で依存症では?と不安になられている
ことはありませんか?
医療法人せのがわ では、専門のスタッフが、ご本人や
ご家族のお話を伺い、個人にあった依存症の治療プログ
ラムを行っています。
アルコール・ギャンブル依存・ゲーム依存についてのご相談は
よこがわ駅前クリニックまで、お問い合わせ下さい。
https://senogawa.jp/yokogawa/
アルコール・薬物依存・ゲーム依存についてのご相談は、
瀬野川病院まで、お問い合わせ下さい。
https://senogawa.jp/senogawa/
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