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医療法人せのがわ

修正型電気刺激療法
(mECT)

修正型電気刺激療法(mECT)

薬物療法とは異なるアプローチで治療効果を上げています。

日本は世界的に自殺率が高く、新聞やテレビニュースで取り上げられる機会も多くなっています。自殺の要因として、うつ病を始めとする精神疾患の存在が指摘されています。

麻酔科領域でも、ペインクリニックにうつ病の患者様が来られることがありますが、内服治療でうつ病の症状が良くならないために慢性疼痛に移行し、家族からも理解を得られず苦しんでおられる方もいます。

当院ではmECT治療により、薬で効果のなかった症状が改善した例が多く、慢性疼痛自体にも効果があるとする報告もあります。少しでも多くの方がこの治療を受けられるようになって欲しいと思います。

また、私ども麻酔科専門医が全身管理下で治療を行うことは、安全性が高く、また合併症の危険も少なくすることにつながり、今後もこの治療に期待するところです。

修正型電気刺激療法(mECT)について

当院では平成20年11月より修正型電気刺激療法(mECT)を実施しております。

ECTは1938年に開発され、以後現在まで、躁うつ病、統合失調症をはじめとする多くの精神疾患の治療に利用されてきました。海外において高い有効性と安全性が確認されている精神科領域の先進医療の一つであり、アメリカでは年間約10万人に対して行われています。

当院では専用の治療機器を整備し、麻酔科指導医による呼吸循環管理を行うことで、高い安全性を確保しています。

また、当院はmECTを実施可能な精神科救急病院のひとつであり、緊急性の高い症状を認める方や、薬物療法で十分な治療効果が得られない方などに対して、mECT治療の速やかな導入とそれによる症状の早期改善を実現しております。

Q & A

修正型電気刺激療法(mECT)とはどんな治療ですか?

修正型電気刺激療法(mECT)は多くの国で実施されている治療法です。脳に短時間の電気的刺激を行うことで、脳波上けいれん波が起こり、脳内の化学変化により精神症状を緩和します。

治療はどのような場合行われますか?

気分障害(うつ病、躁うつ病)、統合失調症など多くの精神疾患の治療に利用されます。緊急性の高い場合、薬物療法による副作用が強い場合、薬物療法の効果が乏しい場合に推奨され、高い有効性と安全性が確認されています。

危険性はありませんか?

治療を行う前に医師が病歴を尋ね、身体的に問題がないことを確認します。次に血液検査、心電図、頭部CT、胸部X線撮影などの検査を行い、内科医、麻酔科医と連携し、患者様にとって治療が安全であることを確認した上で開始します。当院では平成20年11月以降、年間平均約300回を超える治療を安全に行っています。

mECT年度別実施件数

治療はどのくらい行いますか?

患者様によって異なりますが、治療は、週1回から3回、概ね計6回から12回の治療を行います。

治療は通院しながらできますか?

安全確保のため、現時点では入院していただき、治療を行っています。

保険は効きますか?

治療は健康保険が効きます。治療や投薬などの保険診療部分は高額療養費の対象になります。

治療の前にすることはありますか?

治療を安全に行うために、治療の前に空腹にする必要があります。治療が午前の時は、前日の夜から飲食ができません。治療が午後の時は、当日朝より飲食できません。 副作用防止や効果のある治療を行うため、服薬中の薬剤を減らしたり、中止したりすることがあります。

治療はどのように行われますか?

精神科医、麻酔科医、看護師が協力して以下の手順に沿って行います。

  1. 治療を受ける直前に点滴を開始(静脈路確保)します。
  2. 看護師同伴で処置室に移動します。
  3. 血圧、心電図、脳波、酸素飽和度を測定するための器具や電気的刺激のための電極を装着します。
  4. 酸素マスクを介して酸素吸入を開始します。
  5. 眠るための薬(麻酔薬)、筋肉をリラックスするための薬(筋弛暖薬)を投与します。つまり一般の手術と同様に全身麻酔下で行います。
  6. 短時間の電気的刺激を行います。刺激中は眠っているため、痛みやけいれんを感じることはありません。
  7. 治療の有効性と安全を確認した後、病棟に戻ります。
  8. 病室に戻った後も血圧、脈拍、酸素飽和度などを測定します。覚醒したことを確認し、食べ物や飲み物を摂っていただきます。

治療の副作用はありますか?

まれに以下の症状があります。

  1. まれに治療直後にもうろうとすることがあるかもしれませんが、多くの場合、1時間以内に消失します。
  2. 一時的に頭痛、吐き気を生じることがありますが、多くは自然に改善します。希望があれば鎮痛剤や制吐剤を服用することができます。
  3. 一時的に治療前後のことを思い出しにくくなることがありますが、長期間続くことはまれです。
  4. まれに治療によって心拍を乱すことがあります。心臓病にかかっている場合、合併症の危険性が増すため、予防の処置を行い、可能な限り安全に配慮し行います。

瀬野川病院