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『脳科学者の母が認知症になる』Vol.145
著者:恩蔵絢子
発行年月日:2021年12月4日
出版社:河出文庫
ある人から、認知症になったら、ストレスもなくなるから、
実は本人は幸せなんだよと聞いたことがあります。
そうなのかも知れないですが、実際に家族や親しい人が認知症
になったら、そんなにシンプルには受け取る事は難しいという
のが私の感想です。
この本は、脳科学者である著者の母親が認知症になるという、
現在進行形の実体験が書かれてあります。実体験に加えて、
脳科学者としての見解も加わるため、なぜ認知症になったら、
そんな事になるのか?認知症になって変化していく家族に、
周りはどう接すれば良いのか?などの疑問に対してとても分
かりやすく説明してくれます。
認知症になると、ついさっきの事を忘れてしまうだけでなく、
これまで当たり前の様にできていた事が、出来なくなる、
意欲もなくなる等、周囲から特に親であれば、情けなくなっ
たり、腹が立ったり、という感情も抱きます。
著者が何度もこの本の中で自問自答するのが、認知症になっ
たら、その人はその人でなくなるのか?その人らしさが失わ
れるのか?ということ。結論はその人はその人であり、その
人らしさは残るということだと私は解釈しました。
そして、認知症は新しいことは覚えられないと言われていま
すが、何が起きたかを忘れてしまっても、その時の感情はし
ばらく残るそうです。感情は一つの知性と言われ、感情的知
能指数というものもあるということは、やはり認知症になっ
た事で、その人の全てがなくなるわけではないと言う事をこ
の本から学ぶことが出来ました。
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