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  • 『世界は贈与で出来ている 資本主義の「すきま」を埋める倫理学』

著者:近内悠太
発行年月日:2020年3月
出版社:株式会社ニューズピックス

 

こんにちは、Side&bisです。

年末が近づくと、クリスマス、お正月など
を見込んで、商業商戦もセールだの福袋だ
のが出される時期でもあります。

こんな時、つい「自分へのご褒美」という
名目で、奮発した買い物をしたりする…
なんて事ないでしょうか?

今回の本は、そういったお金で買えるもの
とお金では買えないものについての違いや
その意味について、歴史的に、哲学的に
説明しています。

ここでいう「贈与」とは、お金で買えない
ものを指しており、例えば、先程の「自分
へのご褒美」と人からもらうプレゼントで
は、同じもので同じ価格であっても、人か
ら貰ったものには、市場価値には回収でき
ない“余剰”があるので、そこには同じもの
であっても、物に込められる息吹があるの
で、人からのプレゼントは贈与としての価
値が加わるという事だと書かれてあります。

またGive&Takeについても、著者は贈与に
は当たらないと述べています。贈与とは、
与えられたものが、喜びだけでなく、その
罪悪感や、ある種の苦しみも抱きながら、
そこに意味を見出す事、そして、自分も与
える側としての素養を持ち、贈与する側に
なる事という深く、ある種重く受け止める
ものであるという事が本書に書かれてあり
ます。

また、ドキッとさせられる内容として、
本書では、与えられる事に慣れてしまっ
ている社会に対しても言及されています。
私たちの生活では、例えば、停電になって
も、必ず復旧し、電車が止まっても、その
うち再開するお店の棚に品物がなくなって
も、じきに入荷して、また店頭に並ぶとい
うような、何かあっても、すぐに元に戻る
という安定感を感じています。そして、
この安定感を当たり前と捉えてしまってい
る事もあります。

なので、ちょっと不安定になれば、恐怖
や怒りを感じたり、不満を持ちます。この
ような状態を、筆者は「社会が安定つりあ
いと思う人程、感謝という重要な感情を失
う」という事を指摘しています。本来の社
会自体は、不安定なもので、それを安定す
るように支えてくれている何かしらの力が
加わっているはずなのに、その力を普段の
私たちは、見ようとせず、傲慢になってし
まっているところがある事。

本書は、とても読み応えのある内容で、
幅広い観点からの示唆がされています。
私は、もう1回よ見直したいなと思って
います。
今、私たちは、コロナ禍に置かれ
て、とても不安で、恐怖を感じる時間を
過ごしていますが、この状態をどう捉え、
どう活かしていくかという事を考える
ことも贈与として引き継がれるもので
はないかと思います。

 

 

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