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  • 『続「甘え」の構造』

著者:土居健郎
発行年月日:平成13年2月25日
出版社:弘文堂

 

こんにちは!Side&bisです。

精神科関連の勉強をされた方の中では、超が付く程有名な土居先生の著書です。
本当は、前作『「甘え」の構造』を読み返したくて、本棚を探したのですが、どうしても見つからず、
本書のご紹介になりました。著者は、「甘え」の構造を書いて以来、「甘え」が良からぬことの代名詞の
ように扱われたことを補完する意味でもこの本を書かれたように思えます。
特に、この続編では、「甘え」に変わる英語の表現が無い事で、日本人特有の良くない感情のようなもの
として海外でも悪者扱いされてきたことを補うためにも、日本における「甘え」の例として、日本の
近代文学で示された「甘え」の在り方をいくつも本書で挙げられています。

「甘え」は人間関係の働きに起こる現象で、中でも最も健康的な甘えとして、代表的なのは、母子間の
甘えだと言われています。ですから、子どもの発達や成長には必要なものであり、日本人特有のものではない
と思うのですが、英語で表現されている単語は、どうしても「甘え」とはちょっと違う表現になる
coax withやcaressになってしまうのだそうです。それだけ、「甘え」には奥深さもあり、多面的でもある
のだと思います。ただ、一つ言えるのは、甘えは相互的であって、相手が受け入れる事で成立するもので、
しばしば同一視される「依存」とは、この点で、異なるのだと思います。

「甘え」は辞書によって様々な表現をされています。簡単な物などは、「甘えとは、甘える事」
とだけ書かれてあって、拍子抜けしますが、「相手の好意をあてにしてふるまう事」という意味が
私にはしっくり来ます。
著者は、「甘え」は自覚していない事が多く、二人称、三人称では示す事ができるが、一人称として
「私は甘えている」と用いる場合は、余程本人が反省している時であり、その時点では既に甘えていない
のだと
書かれてあります。関連する言葉には、「なつく」「馴染む」「恨む」「すねる」「ひがむ」
「ひねくれる」そして意外にも「落ち着く」というのも甘えに関連する仲間だそうです。
「落ち着く」は自他共に認める所。母の懐のように落ち着くところ。居場所に安心する事で、反対に
「落ち着かない人」というのは、甘えられない、甘えても両価的、自己愛的な甘えで、真の意味の
満足が得られないという事だそうです。

決して簡単に読める本ではないですし、読み終わった後も、悶々とする深い内容ですが、土居先生が
精神科医として患者さんの治療にあたる上での、患者さんの「甘え」についての掴み方なども書かれ
てあり、日々の対人援助や対人関係においてのエッセンスがもらえる1冊だと思います。

あっ、但し、前作の『甘えの構造』をまず読まれることをお勧めします!

 

 

 

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