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『脳内麻薬』~人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体~
著者:中野信子
出版年月日:2014年1月30日
出版社:幻冬舎新書
Side&bisです。今年も色々なジャンル
の本の紹介をして行きたいと思ってい
ますので、よろしくお願い致します。
さて、新年第1弾の本は、中野信子先生の
『脳内麻薬』をご紹介します。
昨年末にカジノ法が施行され、たちまち話題
になってきているのが、ギャンブル依存症へ
の予防や相談体制等の対策です。
依存と聞くと、タバコやアルコール、麻薬や
覚せい剤等の物質への乱用を思いつく方もお
られるでしょうし、最近ではスマホ依存や
買い物依存、ギャンブル依存等ある行為への
依存、そして、恋愛、カルト宗教、虐待など
の人間関係の依存についての話題を目にする
人も多いと思います。いずれにしても、依存
については、意思の弱い人が陥るものと偏っ
た印象を持っておられる方も多いのではない
かと思います。
この本では、なぜ人はハマってしまうのか、
なぜ依存に陥ってしまうのか・・・その根っ
こにある快楽を得る時、脳の中ではどんな
事が起きているのかについて、書かれてあ
ります。
但し、この本は、専門的な説明を基礎にし
た本ですので、医療に従事したことのない
方や初めて依存についての本を開かれた方
には、聞いた事もないような脳内の名称や、
物質名が出てくるので、ちょっと難しく感じ
るかもしれませんが、自分の気になる依存症
の所だけでも読んでみると、ぼんやりと思い
描いていた依存症への理解が進むと思います。
また、この本のタイトルにある、「脳内麻薬」
・・・はどういう物なのか?脳内の麻薬?
どういう事??と気になる所ですが、本の中の
例として1つだけ抜粋すると、ランナーズハイ
(長時間のランニング等を行った際に経験され
る陶酔状態のこと)が挙げられます。
人間は、耐えられない程の苦痛を感じたときに
脳の中でオピオイドが分泌され、自分自身で
苦痛を和らげる鎮痛作用をもたらすと同時に、
幸福感や爽快感をも得るのだという事です。
特にオピオイドの中でもβエンドルフィンと
いう物質がこの時に脳内で活躍するのですが、
この作用はなんと、モルヒネの6.5倍と強力な
パワーがあるのだそうです。エンドルフィン
・・・エンド=体内で生じるものの意味、
ルフィン=モルヒネのルヒネ部分・・・、
からも分かるように、本来人間の体には、
痛みや苦痛を和らげるために、体内で生じ
るモルヒネのような力を持つ物質が、脳内
で麻薬のように働くシステムが備わってい
るということです。
本書は、専門書の様に分厚く重たい本では
なく、手に取りやすい単行本ですが、
物質依存、行為への依存、人間関係、
それぞれの依存の仕組みについて説明がさ
れていて、興味深い部分が沢山あります。
人間の体ってやっぱり奥が深いなーと感じ
る1冊だと思います。
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